第二章

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***  次の日、学校の門をくぐると知朗は昨晩の父親の言葉を思い出していた。 「知朗は何時も元気だけど、朝、恵君に会ったら何時も以上に元気に挨拶をするんだ。そして出来るだけ話しかける」  でも、そんな事くらいで恵の態度が変わるとは思えないよ……。それでも知朗は父親の言いつけどおり、何時も以上に元気な挨拶をした。 「恵君おはよう!!!」 教室中に鳴り響く声に、驚いたクラスのみんなが知朗に注目した。  その半数は笑いを顔に浮かべている。  驚いた恵も目を丸くしてはいたが「何時も元気だけど、どうしたの? 今朝は何か良い事でもあったの?」と、話しかけてきた。  その口元は少し緩んでいる。 「別に? 何時もより元気なだけだよ!」  そして恵が机の中に見慣れない手紙を見つけたのが見えた。
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