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「何だい? 鈴木君用事って?」
その頃、知朗に音楽室から連れ出された恵は少し焦っている様子だった。やたらと音楽室を気にしている。
「あの手紙、義男達のイタズラだよ」
知朗は包み隠さず恵に義男達の計画を話した。
「でも、なんでそんな事を?」
困惑した恵の顔に苦悶の影が差している。
男子が恵に嫉妬していると告げ、「恨まないでよ、みんな君が羨ましいんだ」そうフォローした。
「でも、じゃあ僕はどうすればいいんだい? そんな息苦しい学校は嫌だよ」そんな恵の言葉に、知朗は、「みんな、そんな悪い子達じゃないよ。ちょっとした誤解さ。いつかきっとわかってくれる。だってほら、現に僕が居るじゃないか!」と、言った。
「じゃあ知朗君、僕の友達になってくれるかい?」「いいよ、何して遊ぶ?」
「やった! じゃあ町を案内してよ。引っ越してきたばかりでよく知らないんだ!」
「よし! じゃあ、さっそく行こうぜ!」
知朗が、そう言うと二人は町の方へと駆けて行った。
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