第三章

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 父親に車を出してもらってのスポーツ観戦・ドライブ・堤防での釣り。夏休みに入り、二人は短い季節を目一杯に楽しんだ。木曽の滝や発電所遺構、大自然の中を、自転車で冒険し一緒に笑い、一緒に汗を流して真っ黒に日焼けするまで遊んだ。   「恵! 転ぶなよ! 魚に笑われるぞ!」 「知朗こそ、大物を逃がすなよ! 今晩はオカズ買わなくていいって母さんに言ってきたんだ!」 「恵! もっと頑張れ! 頑張らないと、めだかの塩焼きだけになっちゃうぞ~」     清らかなせせらぎでは魚を追っては捕まえた。日焼けしたコントラストの肌から、時折覗く白が眩しかった。知朗は恵の衣服の隙間から肌が覗くと、何故かどきりとして、それを恥ずかしくも思った。
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