第四章

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 東寺さんが言うには、義男は真っ直ぐだけれど、不器用だから、知朗が誰とでも上手く付き合おうとする態度に我慢が出来なかったのだろうという。恵の事にしても、皆に溶け込もうとしない恵の頑なな態度が許せなかったのではないか。  義男の目から見れば、知朗と恵こそが、こそこそと悪巧みをする嫌な奴に映っていたのかもしれない。だとしたら、素直に腹を割って話せば、きっとわかってくれるに違いない、知朗はそう思えた。    恵に関しても、彼の気持ちもわかる。それは知朗にも経験があるからだ。都会から転校してきて、いきなり訳も分からず注目され、比べられるのに戸惑っていたのは確かだった。    僕はなんとなく馴染めたけど、恵には、何がしかの特別を感じる。それが皆との間に壁を作っている。そんな気がしていた。
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