第五章

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「知朗、学校は楽しいか?」  父親の突然の問いに、知朗は不意に疑問が心を過ぎった。 「お父さんは仕事楽しい?」  息子の痛い所を着く率直な疑問に、享は少し照れながらも語り始めた。 「正直、辛い時もある。都会での仕事は、ルールを守り会社に貢献する事が大切と思っていた。でもここでは違う。ルールを守りながら、例えお客様に届かなくとも、誠意を尽くし続けなければならない事を、東寺さんから教わった。最初の頃は随分と厳しく酷い事を言われたと思っていたが、今となってみれば自分は型に嵌った人間だったんだと思い知ったよ」  大人でもそういう事あるんだ。
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