第一章

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 見た目が目立つ恵は当然のごとく、クラスの女子たちの注目を集めた。転校生というだけでも注目を浴びるものだけれど、都会慣れしている知朗でさえも、恵の一種特別を感じさせるオーラには興味を引かれていた。しかし、その涼しい眼差しに知朗は柔らかくない何かを感じていた。闇を湛えたその目は以前どこかで見た覚えがあった。    休み時間にはさっそく恵の机を女子達が囲み、知朗は少し迷惑に感じた。しかし、それも一時の事なのさ、僕もそうだったと自分に言い聞かせた。    只、ひとつ気掛かりだったのは、クラスの男子全員が好意を寄せているであろう、永友(ながとも)(あい)ちゃんも彼を取り巻く中の一人だったことだ。
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