1. 夢から

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急に雨が降り出す。 私は雨が降ると、いつもあの日を思い出す。 辛いとかそういう感情ではない。 あの日、私は何も覚えてないからだ。木から落ちた後のこと。気がつけば、家のベッドの上にいた。 しかも、木から落ちたのに、かすり傷一つもなかったのだ。 話の流れは全て後から聞いた話だ。 「そろそろ帰るか。雨もやばいし。」 「うん、そうだね。」 「あの日を思い出すのか。」 「まあね、だって、記憶があまりにもなくて。不思議じゃん。」 さらに雨の音が大きくなる。 誰かが、私たちを呼びかけているかのように。 大きく、大きく。 「走ろっか。」 雨の音があまりにも大きくて、なんだか怖くて、私は走り出してしまった。 「おい、まて。そこ、階段あるから気をつけろ。」 その、理来な言葉を聞いた時はもう遅く、私はもう階段の目の前にいた。 そして、理来が言った通り...
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