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急に雨が降り出す。
私は雨が降ると、いつもあの日を思い出す。
辛いとかそういう感情ではない。
あの日、私は何も覚えてないからだ。木から落ちた後のこと。気がつけば、家のベッドの上にいた。
しかも、木から落ちたのに、かすり傷一つもなかったのだ。
話の流れは全て後から聞いた話だ。
「そろそろ帰るか。雨もやばいし。」
「うん、そうだね。」
「あの日を思い出すのか。」
「まあね、だって、記憶があまりにもなくて。不思議じゃん。」
さらに雨の音が大きくなる。
誰かが、私たちを呼びかけているかのように。
大きく、大きく。
「走ろっか。」
雨の音があまりにも大きくて、なんだか怖くて、私は走り出してしまった。
「おい、まて。そこ、階段あるから気をつけろ。」
その、理来な言葉を聞いた時はもう遅く、私はもう階段の目の前にいた。
そして、理来が言った通り...
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