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いつもならこんなに疲れてるんだからすぐ寝付けるはずなのに、今日はどうしてか妙に頭がすっきりしている。身体の疲労はあるし、さっきまでは確かに眠気もあったのに、だ。
まあ、こんな日もあるよな、と、目を閉じていればそのうち寝付いて、次に目を開けたら朝になってるだろうと考えて、俺は目を閉じ、雑念を払うように無心になろうと意識しながら眠気が来るのを待つ。
――ペタ、ペタ。
足音がすることに気が付いたのは、それからどれくらい経った頃なのか。まだ外は暗いので、さほど時間は経っていないのかもしれない。
「俺以外にもこんな時間に帰ってくる人いたんだな」
目を閉じたまま、そう口に出す。
(――ん?)
そこでふと、疑問が生まれる。
はたしてこのアパートに、俺以外に夜中に出歩いてるような人はいたかと。
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