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「先ほどはどうもありがとうございましたぁ!!!」 あれから暫く経った頃。俺は腰を90度に曲げて頭を下げていた。 「ずいぶん大袈裟だね。たまたま目についたからお節介しただけなのに」 「いえ、そんなとんでもない…!あなたには感謝してもしきれません!」 目の前にいるこの女性は、さっき俺をあの化け物から救ってくれた人だ。短髪で小麦色の肌がよく似合う活発な女性だ。服は…制服だろうか。見た事はないが、半袖のブラウスに紺色のスカートなのでどこかの制服で間違いないと思う。歳は俺とそう変わらないだろう。 勿論、彼女もまた幽霊だ。 「でも、今度からは気をつけるんだよ?」 「……え?」 「あの幽霊、どうやら自動車に轢かれて亡くなった子のようだね。この世への未練の強さから悪霊になった彼女は生きている者から死んでいる者まで、他人の魂を自分のものにしようとしているんだ」 「うへぇ……」 「あの付近の交差点では交通事故が多いんじゃない?アレは彼女の仕業だね」     
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