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どうやら、俺はとんでもないモノに接触しようとしていたようだ。もしこの人が来てくれなかったらと思うとゾッとする。俺もあんな化け物に殺されない為にも、これからは信号無視とか絶対止めよう。 「だから、これからは絶対気をつけるんだよ?」 「はい!肝に命じます!!」 俺は威勢良く返事をすると、またも90度に体を折り曲げた。 「だーかーら!そんなに感謝しなくていいって!こっちが照れちゃうよ」 命を救って貰ったのだからこのくらいの事をするのは当然だと思う。たが、彼女がそこまで謙遜するものだからこっちも調子が狂う。何か別の話題を振ってみようか。 「あの……じゃあ、お名前とか聞いちゃってもいいですか?」 そして、俺の口から溢れたのはその質問だった。 「あ……いや、嫌ならいいんですよ!因みに俺は立花悠一、高2です!」 今のは馴れ馴れしかったかもしれない。そう思い、俺は慌てて補足した。 が、彼女はそんな俺には構わず、何かを考え込んでいるようだった。 「うーん……じゃあ、サエコって呼んでくれればいいや」 そして、たった今、思いついたかの様に”サエコ”と名乗った。 「え?それ本名ですか?」 「ううん。だって普通は本名なんて名乗らないでしょ?あなた悪霊かもしれないし」 「うえぇ!?」 嘘だろ!?まさかの悪霊扱い!? ショックを隠しきれずに間抜けな声を出した俺を見て、彼女はクスクス笑った。     
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