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ならば、埋められたあの男は……。
私は頭を抱え込み、そのまま絨毯に額をつける。
そういえば、無くした金縁眼鏡は見つかっていない。
いや、私はいつから眼鏡を無くしていたのだ? いつから……?
すると、ドアをノックする音が室内に響いた。
私は一瞬びくりと身体を震わせたが、よく考えるとこんな大騒ぎをしたのだ。
屋敷の者が心配して駆けつけたのだろう。
「ああ……セバスチャンか……。取り乱して悪かった。悪い夢を見てね」
長年世話になっている執事の名を呼んで、謝った。
すると、寝室のオークのドアが静かに開いた。そして、
――――冷気に似た低い低い、あの声が轟く。
「お待たせ……ロベルト。迎えに来たわ。長い間一人にしていてごめんね」
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