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妹の方が大切なんだと駄々をこねる。
本当は俺も連れていくはずだったが家族席にはもう空きが無かっただけの話。
母はそんな俺を気遣い家族同士の親交があったライカの家に遊びにつれて来ていたのだ。
そして母は時間を見てナツミの所に行こうとする。
無駄に頭の回る俺は母が居なくなろうとすると駄々をこねて時間を稼ぎ、ナツミの所へは行かせないようにしていた。
母は、そんな俺を見透かし、情けない俺を戒める。
それがけんかの発端となる。
大馬鹿だ。
その結果が母を失う事になった。
ナツミから母を奪ったのは俺だ。
母は俺のわがままをなだめるため、ナツミの発表会の時間にぎりぎり間に合うようにタクシーを再手配し、事故に巻き込まれ死んだ。
地震による建築物の落下。
後部座席に乗っていた母だけが死ぬ。
怒りの矛先は俺だ。
俺が駄々をこねなければ母はとっくに会場にいるはずだった。
事故など起きえない。
それなのに誰も俺を責めない。
父さんもナツミも……。
責めてくれることは無かった。
十二分に与えられてきた愛を独り占めしたいというガキのわがままで俺は母を殺した。
俺はこの時、自分の甘さを切り捨てた。
それと同時にナツミを何があっても守ると決めたんだ。
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