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大学の校舎裏の桜の木。
趣味の悪い赤いベンチはそこになく。
俺は校舎裏にもたれかかる様に桜の木を眺めていた。
季節は……今の俺の服装からして夏。
やはりここか……。
「考えるまでもないか。最近の事みたいだしね」
ヒカルの声が脳内に直接響く。
「ああ」
もう一つの後悔。
ここでライカに相談されたんだ。
「ゴウに告白された……。私、どうすればいい……」と。
俺は何も答えなかった。
そしてライカとゴウは付き合う事になる。
何も言えなかったのは俺がヘタレなのもあるが……。
ゴウはライカに告白する前日の夜に俺の所に来た。
その夜は星がよく見え、無駄に光り輝いていた事をいまだに覚えている。
「今からライカに告白してくる」
短髪に整えられた髪を逆立て長身でガタイの良い男がまっすぐ俺を見る。
服装というにはあまりにも布の面積が少ない豪快な服。
しかし、その目はとても輝いて見えた。
「お前はどうする?」
まるで挑発されているように感じたが、このバカはそんな事はしない。
常に真っ向勝負なんだ。
本当は……。
俺も行く!
何度も言いそうになった。
だが、俺は興味なさげに「あっそ」とだけ答えた。
「いいんだな?」
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