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2人は座れる真っ赤なベンチ。
最初はこのベンチに座るナツミをナンパするバカな男たちがいたがその全てが玉砕した様だ。
一人で座れる椅子にしてやればよかったのにジュンは二人がけのベンチを作った。
どうしてそんな事をしたのか尋ねた事があったが……。
「何となく、その方がいいと思っただけだ」
そんな事を言っていた。
アイツは何か知っているのだろうか?
「……やっぱり男でもできたか?」
ナツミは読んでいる本をバンと豪快に閉じ、目を見開くと口調を荒げる。
「兄さん! うるさい! ほっといて!」
「ああ。分かった」
俺はナツミが飽きるまで時間をさらにつぶすことにする。
まあ、でも夕方とも夜とも言えない独特な光は素晴らしい。
マジックアワーとも言われる空の光に魅入られ、俺は思わず、
スマホを取り出すとカメラを立ち上げ、写真を撮り始めた。
日の光が消えてしまわない様に必死でシャッターを押し続ける。
その一瞬を切り取りたくて、いや刻みたくて、俺はシャッターを押し続けた。
しかし、日の光は徐々に弱まり、日が沈むと俺はスマホを胸ポケットにしまう。
ちょうどナツミも本を閉じている所だ。
ベンチの方に歩き出すと緑色の光を感じた。
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