0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は軽く手を振るとナツミが車を降り、家に入るのを見届けると車を寮に向けて走らした。
……。
同日 22時
寮に戻り一通りの事をするとベッドに横になって拾った緑の石を照明にかざす。
淡い緑の輝きはなぜか心を落ち着かせた。
どこに落ちていたか?
なぜか、急にそんな事が気になった。
もしかしたら今日撮った写真に写っているかもしれない。
そんな事を思いながら一枚一枚眺めていると一枚の写真に俺は釘付けにされた。
「何だ……これ」
暗がりに体が透ける男。
心霊写真か?
だが、恐怖は自然と感じなかった。
それよりもここに行かなくてはならない。
そんな思いに縛られた。
俺は寮を飛び出し、車に乗り込むと住宅街にある道をひたすらまっすぐ走らせる。
急げ! 急げ! 急げ……。
急いだところで何か変わるわけでもないのに1秒でも早く行かなければならなかった。
しかし、そんな思いとは裏腹に突然、世界が真っ暗になった。
……。
暗闇の中で懐かしいと思える声が聞こえる。
「と……や。い……を………る……な。く……に……るな」
所々が聞こえずよく分からない。
誰かが、必死で何かを叫んでいる。
同じことの様に聞こえるが、まともに聞こえる事はない。
それとは別に視界は徐々にはっきりとし始める。
最初のコメントを投稿しよう!