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 私が先生にはじめて「好き」って言ったのは、去年、高校一年生のときだった。  あのときはまだ、隕石が地球にぶつかるまで三年もあって、しかもその確率はたった40%だった。私たちが生き残る可能性は、今よりずっと高かったのだ。私が大人になれる確率は、60%もあった。  今でこそ、ふざけた感じで、好きとか付き合ってとか気楽に言っているけど、最初の告白はものすごく緊張した。進路指導室だった。  地球が滅びるかもしれないというときにも、私たち学生は、将来のためにきちんと勉強しているのだ。社会だって、存続するのが前提で動いている。だってもし、隕石がぶつからなくて、生き残って、普通に文明は続いていて、進学も就職もできなかったらどうする。生き残る可能性がある限り、社会はそのまま動いていく。  大富豪の人たちが、地下シェルターを買ったり、地球の裏側に逃げたりの無駄な抵抗をしているという噂はあったけど、そもそも庶民にはそんな余裕はない。粛々と毎日を送るだけだ。 「どうした、ニレノ。お話があります、なんてさ。えっとー。お前は進学組だよな。志望校でも決まった?」  先生は、クラス名簿をぺらぺらめくりながら言った。     
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