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 一回振られてしまうと、気は楽になった。先生は大人のフリをしているだけだっていうのも分かった。あとは、地球が滅亡するまでに、落とせばいいだけだ。時間はまだある。 「先生―。ここ分からないから教えて」 「先生―。みんなの宿題集めて持ってきました」  健気な生徒のフリをして、ときどき不意打ちで、「好き」と言ってみる。その度に、先生は一瞬目をゆらして、そのあと必死に大人のフリした目に戻って「ばか」と頭をぽんっと撫でた。  そうこうしているうちに、私は高校二年生になり、地球滅亡まであと二年になった。 「卒業するときに、地球滅亡なんて、私たち運悪くない」  放課後、教室でだらだらしながら、不真面目な方の友達、カナに訴えると、カナは「そう?」と枝毛をハサミで切りながら言った。カナはちょっと茶色に髪を染めて、うっすら化粧をしている。 「女子高校生のまま死ぬんだよー。美しいままで死ねるなんて本望じゃん」 「えーー。だって、万が一滅亡しなかったときのために、勉強もしなきゃいけなくて、そのくせ進学出来ないかもしれなくて、そんなの損だよ。私の努力はどうなるの」     
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