ワガママお嬢様の初恋レッスン

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ワガママお嬢様の初恋レッスン

放課後。 平凡高校に似合わない高級車が、正門前で止まる。 生徒たちは遠巻きにざわつく。 高級車の扉をイケメン執事のユウキが丁寧に開ける。 「さ、お嬢様」 そこから出てきたのは愛らしい容姿にゆるふわのロングヘアの女の子。 お嬢様は三神花代(みかみかよ)という。 有名な大手企業三神グループの一人娘である。 「そんないかつい車で学校までくるなよ」 騒ぎを聞きつけ、一人の少年が花代に駆け寄る。 名前は高貴明(こうきあきら)。 つい昨日。 「暇つぶしに付き合ってあげてもよくてよ」 と花代が高飛車な告白をし、 「ごめん、今は考えられない」 とバッサリ明が断ったばかりだった。 「告白を断るなんて選択肢はなくてよ。さ、私に恥をかかせないで。行きましょ」 明の腕を引っ張り花代は車に乗せようとする。 「いい加減にしてくれよ!」 明は花代の腕を振り払う。 「きゃっ」 その力が少し強く、花代は尻餅をついた。 「おのれ!お嬢様になんと無礼な」 ユウキが明の胸ぐらを掴む。 明はユウキをキッと睨んだ。 ユウキがたじろぎ、胸を掴んでいた手を離す。 明は花代に歩み寄り、手を差し出した。 「悪かったよ。強くふりほどき過ぎた」 「本当、野蛮だわ」 花代は当然のように差し伸べられた手を掴み、立ち上がった。 明はため息をつく。 「付き合ってらんねー」 明はそのまま、花代の手を離し彼女を通り過ぎて、帰って行ってしまった。 「お嬢様、いいのですか?あの無礼者を野放しにしておいて」 吠えるユウキを無視して、立ち去る明の背をじっと見ていた。
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