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不運な事に、その匂いに中てられた男達は、抗う事も出来ずにオメガの誘惑に応じ性の衝動に走ってしまう。
まったく、こっちはいい迷惑だ。
それでもたまに、その異様な性交によってオメガの男でも妊娠する事があるが、女体に比べるとその確率も著しく低い。
とはいえ昔は、オメガ自体数が少なかったから男体でも重宝されたのだが、薬の開発された今となっては、彼等はただの醜悪で下劣な下等生物だ。
故に、お前の母親もこの家から出した。
青柳ではもう今後二度と、オメガの男と婚姻する事を禁ずる。
これからは、優れた血筋のオメガの令嬢だけを選ぶのだ。
『―――分かったな、正嘉? 』
父親のその念押しに、正嘉は勿論分かりましたと答えた。
そして、その日の午後に、あのオメガの少年がここに連れて来られたのだ。
そうして、自分は――――仲良しになろうと微笑む少年へ向かい、ひどい暴言を吐いて、彼を置き去りにしたまま応接間の控えを飛び出した――……。
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