ファイルNo.9 黒井博士との会話

2/3
前へ
/80ページ
次へ
「普通、生物の細胞は生きるのに必要なエネルギー代謝を作る製造ラインを持っています。 ウイルスはそのエネルギー代謝を行いません。代謝をどうするか?宿主を探すんです。 そして、見つけた宿主の細胞に完全に依存し、宿主の中でのみ増殖する。 彼らに唯一できることは他の生物の遺伝子の中に自らの遺伝子を入れる事です。 厳密には自らを入れる能力も持っておらず、ただ細胞が正常な物質と判別できずウイルスタンパクを増産し病気になるのがウィルスの定義です。 何を言いたいのかと申しますと、例えば人の体にこのウィルスが入るとします。 そうすると、人の細胞がこのウィルスの情報が入ったタンパク質を増産するとどうなるか・・・」 『巨人症になる?』 「そう、それもかなり早くね。ガン細胞にも侵されている事も発見しましたが、こんなものは初めてですよ。myc遺伝子の増殖も確認できましたしね。でも・・・」 『でも?』 「はい、myc遺伝子が多過ぎます。 これはとてつもない量だと言えますね。 もし、これが本当に人の体に宿ったら大変な事になる・・・そう言えば例の写真の人達はどうなったんですか?」 『・・・。』 「なぜ黙っているのですか?」
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加