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二夜「うっ...」
視界がぐらつくのと同時に胸の辺りに痛みが走る。
急なことで体が追いついていけず膝を着いてしまった。
山崎「更夜!?」
斎藤「大丈夫か!?」
一呼吸すると痛みが引いていった。
二夜「大丈夫です。寝起きなので目眩がしただけです。」
山崎「ほんまに大丈夫か?」
二夜「いつもの事だから。」
二夜はこの痛みの原因が分かっていた。
それは寝起きのせいでも目眩のせいでもない。
ーーー死病ーーー
現代で死病と分かってから今まで特に症状は無かったんだが...。
けれどこの痛みが初めての症状となると、後がきついな。
さっきの胸の痛みは一瞬だったが、胸の辺りが握りつぶされるような強い痛みだった。
改めて自分には『3年間の寿命』があると言うことを思い知った。
詳しく言えば...残り2年7ヶ月の命。
私の命が尽きるのは...この世界の1866年の4月だ。
斎藤「本当に大丈夫か?顔色が優れぬ様だが...」
二夜「気のせいだと思います。」
にこっと貼り付けた笑顔。
まるで...近づくなと言わんばかりの笑顔だ。
斎藤は気を使ってか、何も聞かなかった。
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