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ゴンッ、と頭をぶつけた音が響く。
二夜「は……? 」
(何してるんだ、この人……)
後頭部を強打したようだが、土方さんは起き上がらない。
気絶したのかと慌てて息を確認しに行ったが、落ち着いた呼吸をしていて、ただ寝ているだけだと安堵する。
(……もしかして、いや、もしかしなくとも酔ってるな、この人)
そばに置かれていた徳利は二本。
飲んだことがないから分からないが、下戸の土方さんには、多い量だったのかもしれない。
だが、当の本人は満足そうに眠っている。
二夜「幸せそうに、寝ちゃって」
きっと、新撰組という名を拝命されたことが嬉しかったのだと思う。
いつかの歴史書で見たことがある。
土方さんは近藤さんを押し上げるために、隊の中で誰よりも厳しい人間になったと──。
介抱してもいいが、幸せそうに眠っているのを邪魔したくなくて、自分の羽織だけ土方さんに掛けて、あとは自室に戻った。
襖を閉めて誰も居ないことを確認する。
そして一日中溜め込んでいた言葉を吐き出す。
二夜「歴史が早まってる...。」
それも一ヶ月もだ。
急いで机の引き出しから幕末の年表を出した。
二夜「やっぱり...」
一週間から一ヶ月も早まった。
大阪出張で歴史を大きく変えたから...。
つまり...歴史を変えれば変えるほど、歴史は早まっていく。
いやそれだけじゃない。
忠実では起こりえなかった出来事も起こるという事。
私一人がこの世界に来ただけでそんなに影響があるのか?
私以外に、この世界に影響を与える事ができる人物なんて一人しかいない。
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