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山崎「ここやな。」
山崎が指をさしたのは、古いながらもしっかりとした柱に支えられている鍛冶屋だった。
もちろん刀やくない、手裏剣などの武器が売ってあるため人は近づこうとしない。
騒がしいのはあまり好まない自分に取っては好都合だが。
二夜「店員さんは...」
そう呟くと店の奥から70歳くらいの柔らかい表情のおじさんが出てきた。
とても武器を造ってるようには見えないが、あの手の傷や他に店の者と思われる者が居ないことから、このおじさんが店長なのだろう。
店長「おやおや、若者が...何をお探しかね?」
二夜「店長。この刀を見てほしい。」
そう言って差し出したのは私の愛刀『赤花』。
店長「これは...ちょっとそこに置いてくれるかね。」
店長に言われるがままに指定された大きな台に刀を置く。
店長「抜いてみてくれ。」
どうして自分で抜かないのだろう。
と、不思議に思いつつも刀を抜き、店長に見せるように置き直す。
店長「この刀の名前の他に、この刀について何か知ってる事はあるかい?」
二夜「昔から使っているんですが、錆び付いたり刃こぼれしたりしてないんですよ。」
店長「『あかはな』...と言ったね?」
その問いにこくんと頷く。
店長「この刀は...『せっか』とも言うんだ。...恐らくこの刀は妖刀だ。」
薄々そんな気はしていたため、あまり驚いてはいなかった。
それは斎藤さんも烝も同じだった。
でもまさか、噂の妖刀とやらをずっと使っていたとは知らなかった。
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