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「はッ、はあっ……」
リアルな夢に耐えきれず、目を覚ました。
「昔の夢、か」
息が切れている。
額には、べたりと汗がついていた。
すぐさま違和感を覚える。
__私は暗殺者だ
人の殺される夢は一般的には悪夢であるが、私は常人よりも遥かにそれらに対する耐性はついている。
人殺しを生業とする暗殺者。
歳は十六で、もうかれこれ七年、人生の約半分を暗殺者として働いて生きてきたのに。
「まさか、怖かった? 」
人が殺される光景、ましてやあの虐待していた両親の死に対して、恐怖はおろか、なんの感情も抱くことはない。
であれば、どうしてこの身体は震えていたんだろう。
ついさっき見た夢の詳細を思い出そうとするも、朝七時を知らせるアラームが煩く鳴り始めて諦めた。
高校に行く準備を始める。
殺し屋兼、高校生。
あくまでも殺し屋が優先で、高校に通っているのは所属している暗殺組織のマスターに命令されたからだ。
正直面倒だなと思いつつも、シャワーを浴びて制服に着替える。
ピロンと、メールの通知が鳴った。
同じ高校の友達から、ではなく暗殺任務のメールだ。
書かれてあった標的と場所、日時を頭にたたき込み、学校に遅刻しない程度の時間で外へ出た。
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