第一章~出会い~

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あの神野郎。 勝手に着替えさせやがって。 あの服、結構高かったのに。 袴ってことは、男装しろってことか? まぁ、確かにこの時代は女が絡まれやすいだろうが。 二夜「はぁ...。」 溜息を零す。 気を取り直して、この状況を整理しよう。 服は袴を着てるから大丈夫。 一番の問題は髪の毛の『色』だ。 唸っていると不意に、視界に何かが映った。 二夜「布...?」 そこには大きな布が畳んで置いてあった。 畳んで、ということは誰かが置いたのは間違いない。 それにこの布、人ひとりの大きさだ。 まさかとは思うが、髪の毛を隠すために? さらに加えて私の愛刀、赤花と暗殺で使っていた二本のナイフもそこに転がっていた。 そしてこれは、マスターから貰った発作の薬。 また、あの神野郎が? あいつ以外に考えられないし、多分そうなのだろう。 こればっかりは、感謝しないとな。 髪の色は布で隠せるし、武器も揃ってる。 万が一の時の為の、発作の薬もある。 二夜「いい迷惑だな。」 そう言いながらも、感謝はしてる。 どうせ私のことを知っていた奴なんだ。 私の考えている事くらい、見透かしているだろう。 さて、ここが昔の時代ってことは分かったが、幕末とは限らない。 とりあえず目立たないように移動と情報収集だな。 それに夜まで時間はないみたいだし。 二夜「行くか...。」 二夜は小さく呟き、静かに重い腰を上げた。
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