Chapter1

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そりゃ、アタシら琴浦東高校野球部が甲子園に行けるなんて、アタシですら思ってなんかないけど(ごめんねユウスケ)、春大会のベスト8は出来過ぎたとしても、夏の県大会でも3つくらい勝って、ベスト16くらいには残りたいし、実現は十分可能だと思ってた。 さすがのアタシでも、城東学園と当たるのが早すぎるとは思う。 でもね。 試合やる前からこんなんでどーするのっ? 城東学園だって、第1じゃなくて第3シードだし、『絶対王者』な訳でもないし、春の大会後の練習試合では、向こうのBチームにはウチは圧勝しているし。 そりゃ向こうのAチームには大差で負けたけど、コールドゲームにはならなかった。 ウチだってその練習試合以降、エースのタツキの安定感も増してるし、4番のヒロタカはホームランの量産体制に入り、ちょうど今、所謂「ゾーン」に入っている。 試合は何があるか分からない。 やってみなきゃ分からない。 それなのになんで…? アタシは、部員を怒鳴りたい気持ちを抑えながら、ユウスケを待つ部室の窓から、青い空を見つめていた。
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