Chapter3

1/4
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

Chapter3

話は去年の夏大会に遡る。 去年の三年生は、選手16名、マネージャー2人の計18人で、しかも珍しくシニアやボーイズのレギュラークラスも何人かいて、近年最強と言われてたはずなのに、それでもなかなか勝てなかった。 新チーム結成直後の秋は県大会ベスト4だったけど、春、そして最後の夏とも二回戦負け。 最後の夏は、思いっきり“格下”の相手に負けた。 相手の小柄な横手投げの変則左腕は、球速は遅いけど、コントロールが良く、なかなか捉えきれない。 “いつか打てる”はずが、イニングが進むにつれ、焦りに変わり、難しい球に手を出して凡退。 こういう時は、ラッキーパンチで勝負が決まるのは良くあること。 しかも相手に。 先に点をやれないプレッシャーでウチのエースの先輩も疲労が増し、終盤8回に二者連続フォアボール。そして迎えた次のバッター。 止めたバットに当たった打球がフラフラとファーストの頭を越してフェアグランドに落ち、そして転がらず止まる。 ライトがボールを掴む頃には既に2塁ランナーが生還し、結果それが決勝点。 先輩たちの夏は、あっさりと終わった。     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!