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「主の…友だ。そのコダマは社で主にたくさんの楽しみを与えてくれた」
…主、恐らくそれはその体の主のことなのだろう。白がその体であることに関してはまだわからないままであったが、主は朽ち、白がその体に入っているのだろう。僕も神サマになったのだ。もうなにがあり得ないなんてことはないように思えた。
「白でいい」
「…?」
「呼びだ」
呼び方、名前を付けたはいいもののなんて読んでいいか分からなく揺り籠民の性かさん付けで読んでいた。
あまり感情を出さず、己の意志も話さない白が呼び捨てで読んでいいと許可したことは僕にとってはとても大きなことで、その一瞬で僕はまた心臓がはねたようだった。
「白…」
「…」
あぁ、とか。うむ、とか。白ならそういう返事をするところだろうがなにもいわず視線と落としては頷くように目を閉じた。
「…ありがとう、白」
あまり白と会話をしてきてはいなかった。呼び方を変える、それだけでぼくは大きな進歩だと、そう感じた。
「あなたは愚直だ」
「ぐ、愚直…」
そう感じた瞬間に白は少し向こう側に顔を逸らしては僕に言い放った。愚直、そうなのだろうか。僕は正直者ではないし、それこそバカみたいに考え無しなわけではないと思っていたが。
でも案外僕は自分が思っているよりは愚直なのかもしれない。でも、もっと愚直になってもいいかもしれない。それこそ何も知らぬ少年のように、幼き夢の理想に向かって何者にも縛られず、手探りで花を咲かすように、消せないボールペンで一発書きするように。
だから
「白もあなたではなく僕のことは」
一って呼んでほしい。
そう言った。先程のような勇気は出してない。自然に言葉が出てきた、そんな感じだった。今までだったらこんなことは言わなかっただろう、絶対的に確信して言える。
「あぁ、そうだな。一」
僕の新しい名前に、これで一歩近づいた気がした。
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