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孤独な少年
かくして、一人の子供の命令の元に、大の大人たちは文句も言わずに、従うことになった訳である。
「あんたんとこのエリアス坊っちゃま、ゲイじゃないだろうな?」
「は?」
「いや、いい。どうせ、襲われるのは、俺じゃない」
気に入られているのは、魁、である。
龍生とオーギュストは、暗く閉ざされたキャビンの階段を、下層の車輛スペースへと向かって、降りていた。
あのエリアス坊っちゃま、生意気な子供ではあるのだが、言っていることは、全て正しく、冷静な判断によって打ち出された、最良の手段であるから、龍生も文句が言えないのだ。
車のことなど、龍生は考えてもいなかったし、せいぜい、スタンド・マイクを武器にする、ということを思いついたくらいである。
これでは、どっちが子供なのか、判りもしない。
住む世界が違う、といか、レベルが違う、というか、彼が、わずか十一、二歳でガラス王の名を継いだ、というのも、うなずける。
彼は、血の繋がりだけで、ガラス王の名を継いだ訳ではなく、その才能を持ってして、ガラス王国のトップに立ったのだ。
龍生や魁が手に入れることが出来なかった、天才、という輝かしい響きを、我が物にして。
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