ミッドナイトMANGOジャージマン

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 趣味の悪い緑色の学校ジャージ。それは正しく僕がパジャマ代わりに着ている、卒業した高校のジャージだ。彼女が見掛けた男は、十中八九僕の分身に間違いない。それにしても、週末の夜の六本木にジャージ姿で現れるなんて、なんと勇気のある分身だろうか。本体とは似ても似つかない。  東京で役者として一旗あげるまでは、地元には帰らない。そう誓って、九州から鼻息荒く飛び出してから、「石の上にも三年」と、バイトをしながら劇団員として、三年間赤貧の下積み生活を送った。結局夢よりも安定を求めて就職した印刷会社で、営業成績を伸ばし、それなりの収入を得られるまでになった、現在東京生活八年目。  桃栗三年柿八年。柿も美味しく実る樹齢分を過ごしたんだなぁと考えたら、何故だか無性に柿が食べたくなった。  柿を求めてスーパーに入り、並んでいる果物を見て気がついた。スイカに桃にパイナップル、季節は今、夏だった。柿の時期には早すぎた。 (お、あれは)  陳列棚のライトに照らされて、箱入りの高級フルーツが鎮座しているなか、僕の目を引いたのは (マンゴーだ)     
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