心の引き算

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引き算で引かれた数字は、どこにいくのだろう。 黒板には沢山の数式が書かれている。 計算され全く新しい数字が現れる。 無くなった数字は、違う世界に消えていったのだろうか。 こんなことを考えてる僕は変に思われるかもしれない。 「また足せばいい」 そうすれば、元に戻る。 人間の心もそうだ。 辛いことや悲しいことがあれば、何かで補う。 でも、そう簡単にはいかない。 人間の心も数字のように引いた数字を足せば、 すぐ戻ればいいのにと思う。 「はぁ…」 昨日、告白して振られたのはショックだったな…。 友達から恋人へ変わることが、こんなに難しいことだったとは。 距離を置かれ、会話することもなくなってしまった。 教室の窓から外を眺めると風が強いせいか、木が左右に大きく揺れている。 校門前にスカートを穿いた20代ぐらいの女性が歩いていた。 風でスカートが大きく捲れて中身が見えそうになる。 「おぉ…」 さっき考えていたことを忘れるぐらい、夢中になって見ている自分がいた。 僕は案外単純なのかもしれない…。 明日からまた頑張ろう。 再び黒板に目を向け、数字と戦うことにした。
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