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「俺、今日は帰るから香水の匂いはちゃんと落としてベット入って…」
背を向けて玄関に向かうと名残りおしそうに振り返る。
「……ひき止めるなら今なんだけど……」
「このキーホルダーどうしたの?」
「俺の言葉は無視ですか」
「自分で買ったの?」
「……知り合いの女子アナさんが番組で行くって言うから買ってきてもらった」
「……ふーん」
知り合いの女子アナ…
“今まで付き合ったのは世間の目を気にかける業界の……”
ダメだ…
すべてを怪しんでしまう…
「もしもし?…晶さん?」
夏希ちゃんは手にしたペアマウスを見つめるあたしに声をかけている。
ハートを作るタイプではないが、リボンを付けた愛らしい彼女の肩を抱くようにくっ付けると、頬にキスをしているような形にペアが出来上がる。
なかなか可愛いデザインだ──
「それ、俺と晶さん。……気に入った?」
いつの間にか傍に居て一緒にペアマウスを覗き込む。
「あれ、靴履いてなかったっけ?」
「………」
あたしの冷たい言葉に何か言いたげだ──
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