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ある意味、井の中の蛙だ。
芸能界も荒波の海ではあるけど結局は隔離された世界──
俺は大海原を知らない……。
だから努力するわけで…
この中に居ても外を知る方法はいくらでもあるから。
俺はいつか晶さんと一緒に夢を叶える為に努力したいわけで──
「決まってるなら伝えておくから、じゃ撮影頑張って」
次の仕事内容の確認を取って楠木さんは切り上げる。
「どっかいくの?」
「ああ、舞花のドラマ撮影の様子見てから新人のCM録りに付きっきりになる」
「なる、行ってらっしゃい」
手を振り合うと楠木さんは足早にこの場を後にした。
「新人で早速CMか…やるな」
俺は呟いた。
楠木さんが見つけたなら持って生まれた“光る才能”てやつがあるはずだ──
事務所に入って直ぐにCMの仕事を貰えるなんて、そうそうない。
てことは──
そいつは“もってるヤツ”ってことでもある──
運と才能。
この世界では必要不可欠な言葉だ──
「会ってみたいかも…」
何となく興味が沸く──
「藤沢さんシチュー皿持ってください。──…じゃあイキマスっ!」
そう思いながら俺はカチンコの合図と共に、エプロン姿でシチューを持って虎太朗とくるくる舞って踊った……。
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