序章の序章

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 日が昇れば起床し、日が沈めば眠る。それが人間本来のあり方であると、どこぞの識者は言いますが、それはもう過去のこと。  時に人間たちは夜にせっせと働き、日が昇ると同時に眠りにつく者もいます。草木も眠る丑三つ時とはよく言いますが、人間はまだまだ眠らないようでございます。  その時代の移ろいに、適応するのは何も人間だけの話ではございません。今宵も月が沈み、日が昇ります。     人ならざるものは、皆往往にして夜を生きたそうでございますが、彼らは、はたまたどうして、太陽の燦々ときらめく街を、トボトボと歩くのでしょうか。
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