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 職員さん達がすぐに引き剥がしてくれたけど、僕の怒りは中々収まらなかった。これも、例の怪物のせいかもしれない。イライラが溜まっていたのだ。  やがて活動時間が終わり、施設を後にする。送迎バスで家まで送り届けられた僕は、パパとママの下へと戻った。  ママは怒っていた。施設の職員さんから、シンジ君とケンカをしたことを聞いたのだろう。  「ママー」  僕はママに泣きついた。あれは仕方がなかったんだ。あれは嫉妬したシンジ君が悪いんだよ。  しかし、ママは許してくれなかった。  「ママじゃありません! もう知りませんよ!」  ぴしゃりと言葉を叩きつけられ、僕はしばらく落ち込んだ。  厳しいママ。それでも大好きなママ。僕はママを怪物から守らなければならない。    僕は怪物に対抗するため策を練ることにした。そのために、まず図書館に行って、情報を集めようと思った。  幸い、図書館は歩いて行けるほどの距離にあったので、パパやママに送り迎えして貰う必要がなかった。  僕は、図書館の中へと入った。今は夏休みなので、人が多い。  僕は普段、利用することもないジャンルの本棚の前にやってきた。そこは、世界の怪奇、伝奇を扱った本が揃えてある。     
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