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※
まただ。
そう思った
自室のベッドに潜ったまま、僕は壁掛けの時計を確認する。
時刻は丁度、夜中の十一時を指していた。
ベッドの中で寝返りをうち、暗がりに潜む猫のように、そっと耳をすませる。
微かに、音が聞こえていた。パパとママがいる寝室の方からだ。木が軋むような音と、苦しそうに呻く声。声の方は、ママのものに違いない。
大抵は今くらいの時刻に聞こえてくる音だった。しかし、たまにもっと遅かったり、少しだけ早かったりした。
僕がこの音に気が付いたのは、一ヶ月ほど前、丁度八月に入ってのことだった。夜中にふと目が覚め、トイレに行こうと部屋を出ようとしたら、この音が聞こえてきたのだ。
その時は怖くてすぐにベッドに戻り、毛布を被って寝てしまった。おかげでおねしょをするハメになり、ママから大目玉を食らってしまった。「またオムツを付けますよ!」と言われた。恥かしい。
それから僕は、夜になると、音に注意を払うようにした。正体を突き止めようと思ったからだ。
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