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「朔夜おせ~、俺を待たせるなって! 列並ぶから、俺の手をしっかり掴んでおけよ」
和虎は、はっきり言って超絶に勘違いをする奴。少なくとも、幼い時はおとなしかったはずなのに、私といる時だけは強気を無駄に見せるようになった。高校に入るまで和虎に彼女がいたなんてことを聞いた試しはなかった。だけど、どうやら女子受けはイイらしく、とても優しい奴ということらしい。
正直言って、それは幻を見せられてるんじゃないかってくらい、コイツはウザい。私と和虎は恋人じゃない。それなのに、いつも一緒にいる関係。すごく微妙。馴染みだからってだけでずっと行動するものなのだろうか?
「パフェはカズのおごりだよね?」
「まぁな。俺のおごりをありがたく頂いとけよ?」
幸いなことに、どこかに強引に連れ回される時の支払いは、全てカズが出してくれていた。これが私だけなのかは不明だけど。すっごい、偉そうにしてるけどこういうところを見せる辺りがムカつくぐらいに好き。
「おい、朔夜」
「なに?」
「頬にクリームついてんぞ?」
「ヤダ、嘘!?」
クリームを使ってるパフェとかを食べるとどうしても頬に付けたまま気付かない時がある。そんな時、必ず気付かせるように声をかけるのがコイツ。そして、私の密かな想いを消し去らないような俺様セリフを放ってくる。何を考えてそんなセリフを吐けるのか、心が読めない奴。
「なぁ、朔夜……頬にクリームなんかつけて、お前、可愛いところあるよな」
「わ、悪い……?」
「いや……悪くないけど? いちお、褒めたつもり」
「それはどうも」
「俺には何か言わねえの? なんかあるだろ、ほれ」
和虎もわざとらしさ全開で、口にしたパフェのクリームを自分の頬に付けたままにしている。
「そ、そんなこと言われてもわかりませんよ~~だ! ふんっ」
「拗ねるなよ。なに可愛い事言ってんだよ。……っざけんなよ、そんな一面を外で見せたら好きに――」
何かぶつぶつ言ってたけど、面倒すぎるからシカト。構って欲しいなら自分で言ってよ、バカ和虎。
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