AM 3:25

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うっ、と、私は声にならない声を出してしまった。 真っ白な顔が、廊下の方から私の方を見つめていた。 最初は様子を見に来た後輩かと思い、顔をじっくりと確認したが、知らない顔だった。 壊れたおもちゃのように小刻みに首を震わせた何者かが、ただただ私の方をじっと見ていた。 その顔は彼、とも彼女、とも判断できない。 私は、首を動かすことができなかった。 窓から視線を逸らせずにいると、白い顔は一つずつ増えていった。 パワーポイントのアニメーションのように、ゆっくりと顔と手が正方形の窓に現れた。 そして、正方形の窓がその白い顔と手に覆われてしまった。 その顔は何とも形容しがたく、個性のない、無機質で平板な表情であった。 しかし、確実にそれらの顔は、すべてバラバラであり、バラバラにも関わらず同じ顔のように見えた。 私を襲おうとしているのか、それすらも何者かからは感じ取ることはできなかった。 不意に耳元では笑い声が聞こえた。 口を半開きにして私の方を見てくる、白い顔たちからの声と誤解した。 しかし、それは冷静に考えると、音楽プレイヤーから流れてくる笑い声であった。 あまりに理解できない状況でも冷静に物事を判断できるのだな、 とあまりにも客観的に自分のことを見ていた。 白い顔は表情を変えていく。 目は一貫して私の方を見ており、まるで意思を感じないままである。 しかし、口を半開きにして全ての顔が動きを止めた。 そして、先ほどよりも大きく、一斉に顔をカクカクと揺らし始めた。 顔たちの行動に、私の脳の理解は追いつかず、一刻も早くこの場から立ち去りたかった。 いや、違う。そもそも外に出られない。 この実験室の出入り口に顔が殺到しているのだから。 私は、実験室に閉じ込められてしまった。 しかし、顔たちをどうにかすることもできない。 絶望的な状況に耳からイヤホンを外すこともできなかった。 もしかしたら眠りかけの脳が、イヤホンを外した時に聞こえるかもしれない、顔たちが奏でる音を、本能的に避けたのかもしれない。 確かに顔たちの音を聞いたら、湧き上がる吐き気を止めきる自信がなかった。
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