眠れない夜

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 ぐるぐる。ぐるぐる。昔からずっと同じ事を考えている。  何処に行っても意味がないような気がして、何処にも居場所がなく感じて、頭なのか胸の奥なのかズキズキがとまらない。いつからだろう。  何者かになりたかった。  何者にもなれなかった。  味のなくなったガムを噛み続けてどのくらい経っただろうか。  俺の人生はこのまま変わることなく無意味に過ぎていくのかと思うと叫びだしたくなる。  就活がうまく行っていたら、彼女と別れなかったら。今とはまた違っていたのかな。何も上手くいかない。才能もない。俺には何もない。両手で髪の毛を掴みぐしゃぐしゃにかき乱す。どうしてこんなに自分には何もないんだろう。これまでの人生、30年間一体何をしてきたんだろう。色々、自分なりに精一杯やってきたはずなのに、何も身に付かなかった。何一つ手元に残ってない。何がいけなかったのか、どうしたらよかったのか、誰もいない何も無い時間にはそればかりぐるぐる考えてしまう。  助けてほしい  何から? 誰に?  心の奥からの悲鳴に、冷静な“自分”が返す。わからない。わからない。思考しているようで思考停止している。停滞している。いつからか前に進む方法がわからなくなった。
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