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自分が今どこに立っているのかもわからない。嗚咽が鳴り止まない。どうしたらいいの。どうしたら満足なの。俺は一体何をしたら良かったの。
涙が溢れて視界がぼやける。
ぼやけた視界の向こうに小さな少女の幻影がチラついて見えた。うずくまって泣いている俺の周りを、ぱたぱたと軽快な足取りであちこち動き回る。真っ白なワンピースに裸足の幼い姿だった。
落ち込むと現れる、俺の中の妄想。
こんなものは幻だ。そう言い聞かせても決まって現れる。
クスクス クスクス
おにいちゃん わたしのこと キライ?
「…嫌いじゃないよ」
現れるたびに、そう返していた。
きっと毎日飲んでいる精神安定剤の副作用によるものだ。2週間に1度通っているメンタルクリニックで医者にも伝えたけれど、首を傾げられ、薬の量が増えただけだった。
時々、どこから夢でどこから現実なのか、境界があやふやになる。眠れないと言いながら眠り、悪夢を繰り返す。
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