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「だから、いっそ言ってみれば? 女子も、意外と好きだろ」
「……いろいろあるのよ、女子の間柄ってのは」
ため息をつきながら、かすかに微笑む。
「じゃあ、俺には好きにしゃべれば? 面白いしな、お前の話」
「えぅ、っと、その」
胸元にゾンビ映画を抱いて、頬を赤らめる幼なじみ。
不釣り合いなそのバランスに、逆に、変に意識してしまう。
「どんなところが、楽しいの」
理由を問いかける瞳が、まっすぐすぎて、平治はごまかすように言ってしまう。
「――前に言った、俺が好きなホームページの管理人みたいで、いいなって想えるよ」
冗談めかして笑いながら、そう答える。
ただ、それは本当の部分も含めていたから、平治は褒めたつもりでもあった。
「……へぇ。私、そのネットの人の、代わりなのかな?」
だが、真希はあからさまに顔を険しくした。
「私の感想は、私の感想だもんね!」
ふんっ、と、真希は顔をそむけながら、レンタルカウンターの方へと足を向けていた。
(……でも、本当にそっくりすぎて、だから嬉しいんだけどな)
それを告げれば、また真希が怒るのはわかっていたので、平治はそれを口にしなかった。
――まるで、ネットの中の知り合いと、現実で話しているような。
そんな、奇妙な錯覚に、陥ることもたまにあったから。
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