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「見てるよ、気が向いたのだけだけど。タイムマシンに乗って歴史を変えるのとか、おっきいワニに追いかけられるのとか」
「そういえばお前、アクション映画、好きだったもんなぁ」
言わないでよ、と、少し眼を背ける真希。
恥ずかしそうにする姿は、女の子らしくないと言われて落ち込んだ、幼い日の彼女に似ている。
「……あの、さ」
なのに、ためらいながら話しかけてくる姿は、もうあの頃のずうずうしさがなく。
「一緒に、映画観ない?」
――どこか、女の子らしいと、平治は感じてしまう。
「えっ……?」
「お、親が観たいからっ、許可はとらなきゃだけどっ!?」
怒るようにそう言われ、平治は悩んだ。
いくら幼なじみとはいえ、夜中に突然、しばらくぶりの家に尋ねてもいいものだろうか。
だが、その映画を急いで観たいというのも、また本音ではあった。
(……トゥルーさんも、この映画、観たいって書いてたもんな)
ならば、話題にするためにも、一刻も早く観賞したい。
――結局、平治は真希の家を訪れ、その映画を鑑賞することとなった。
真希の両親は、久しぶりに訪れた平治に驚きながら、快く歓迎してくれた。
そして、映画にはまるで興味もなく、真希と平治の二人っきりになってしまった。
「……借りてこいって言ったのに、親ってずるいよね!」
(いや、絶対違うだろ)
そうは想ったが、真希の顔を見た平治は、皮肉を言うのも忘れて笑ってしまった。
――楽しそうにビデオをセットする真希の顔が、昔のままの、彼女のものだったから。
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