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この土地では、魔女の力の強さは一日を通じて変化していく。魔女は夜に生きるもの。真夜中に頂点に達する力は真昼には衰え、只人とあまり変わらなくなってしまう。
でもわたしはそうじゃない。
夜が更けると、わたしは魔法が使えなくなってしまう。昼間には何の問題もなく力を集められるというのに。
おばあちゃんは手を尽くしてわたしの奇妙な性質を治そうと努力した。でも何の甲斐もなく、わたしは昼の魔女のままだった。
――おまえは正式な魔女になることは出来そうにないね、マリィ。真夜中に魔女集会に自力で飛んで行ってこそ、一人前として認められるのだから。
ついにおばあちゃんが言ったとき、わたしは反論した。
――でも、昼間になら行けると思うわ。
――それでは駄目なんだよ。昼は翼の時間だ……空を舞うのは鳥たちであって魔女じゃない。魔女のホウキは夜のものだ。それが古来からのしきたりだからね。
――それなら、わたしはどうなるの?
――どうもならないよ。変わり者の見習いとして生きるより他にない。
――そんなの、ひどい。
――そうさ、酷いよ。だが私ひとりの力では、おまえを特別扱いしてやることは出来ないんだよ……。
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