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「この間はわからなかった。というか、そこまで想像力がなくて思いつかなかった。だが、こう何度も同じ現象が続いたら、嫌でも気付く」
「…………?」
「お前も少しは疑ったことはないか? 由宇の身体がおかしくなる、つまり機能を停止する時は、必ずと言っていいほど、深月の中の由宇の意識も喪失してるんだ」
「…………!?」
確かに。
この病室で同じアラーム音を聞いた時、深月の身体には深月の心が戻ってきていた。そして、深月の心と由宇の心が交代したとたん、アラーム音は鳴り止んだ。
いつも由宇の意識が深月に明け渡されると同時に由宇の身体の機能も停止し、深月の身体の中で由宇が意識を取り戻した時、由宇の身体の機能も正常に戻ったのだ。
「由宇の身体を動かしているのは、やはり由宇の意志だってことだ。だから由宇の意識が消えれば由宇の身体も機能を停止する」
智秋がごくりと唾を飲み込んだ。
「だから……俺が電話した時、深月に戻ってたのか……?」
「そういうことだ」
どちらが先、なのだろう。
連動しているのは確かだろうが、具体的にはどちらが先で、どちらがきっかけなのか。
身体に異常が発生したから由宇の意識が薄れたのか、由宇が意識を手放したから身体が異常を訴えたのか。
そっと盗み見るようにして、鷹取は由宇の身体の方へと目を向けた。
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