あなたの瞳の真ん中に咲く夜

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 あなたはわたしに聞きたいことがあるに違いないのに、何も言わないでいつも迎えてくれる。  月下美人の蕾が宝物なんだって。  あまりに浮かれる気持ちをごまかすのに「嬉しかったよね」なんて。蕾へ他人事のように話しかけてたわ。  ただ時期がきて咲くんじゃなく、あなたが見てきた花の中で――、一番綺麗に咲きたいなってその時願いを持った。  願いなんていいものでもないかもしれないわ。  ――欲、かも  枯れ果てるしかなかったわたしが咲き望める。  耀、あなたがいるからなんだよ。  あなたは自分には何もできないと思っているかもしれないけれど、そんなことないわ。  あなたがくれた夢。  わたしの何を消耗しても、綺麗に咲けることを知ったから。  本当はね、毎年夏が来る度に花を咲かせて、散ってまた咲いて、そんなふうに年月を重ねていけたらいいな、それはどんなに楽しいかしらって。  だけど、あなたの苦しみを知って、わたしにしかできないことも一緒にわかっていた。  それを見過ごしたまま、毎年咲くなんてできない。枯れるために咲くようになってしまうもの。枯れたまま枯れていくことになるわ。  もしあなたに拾われなければ、そうなっていたかもしれなかった。  あなたの苦しみをわたしだから取り除いてあげられる。  それはわたしが咲くには、もしかすると水や養分よりもすごくすごく必要な、時には全てを燃やし尽くしてしまう太陽の熱量の代わりになるもの。  それが唯一のわたしの存在理由ともいえる情熱と呼ばれるものならあなたに活かしたい。  わたしのこれからをあなたへと口移すわ。
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