あなたの瞳の真ん中に咲く夜

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 その日は朝から風が強くて蕾も翻弄されていた。  わたしは大きな花弁を包んでしなだれている分、強風を受けやすい。  でも何も心配していない。  あなたが必ずわたしを安全な場所へつれていってくれるもの。  そうして風に煽られるのも、とっても楽しくなってきた頃にあなたは血相を変えて駆け寄ってきた。  最近では少し走れるようになって、夜はぐっすり眠れるようになれたみたい。  あなたは何度も「ありがとう、美月のおかげ」って言うけれど、ありがとう、言いたいのはわたしの方なんだよ。 「風のあたらないとこへ行こうな」  そうやって守られるのは、あなたの隣に立てる何の不足もない女の子になれたみたいだった。  できることの少ない弱いままでもいい。  くすぐったくて、それは花であることを忘れてしまいそう。  強くなければ咲けない花であることないんだって。  助けてもらいながら咲いてもいいんだって。
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