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もしかして、私だけ血が繋がっていないのだろうか……
そう初めて疑問に思ったのはいつのことだったろう……たしかそう、小学生だった!
よく言う、橋の下に捨てられていた子供
もし、それが自分に当てはまったら?
突如浮かんだ考えが怖くなり、私はぶるっと身震いをした。
芽生えた私の中の恐怖心に、日に日に耐えきれなくなり、姉にポロッと弱音を漏らしたら――「そうかもね!」と笑いながら姉が言った。
そして、盗み聞ぎしていた弟が「知らなかったのか!?」と目を丸くする。
衝撃の事実に、私は泣きながら家を飛び出して、数時間後、探しに来た母に無理矢理連れ戻された。しゃくりあげながら帰宅すると、特大のゲンコツをパパにお見舞いされた身体のでかい二人が、いつもよりも小さくなっていた。
私は内心 ざまあみろ と思っていたけれど、口にすることはなかった。
私のこの伸びない身長は遺伝子が違うからかもしれない。誰も教えてくれないけれど、本当は私だけ兄弟ではないのかもしれない。
その疑惑が拭えなかった。
唇を噛みしめパパに叱られる二人を遠くから見ていたら、
ふんわりとママの腕の中に引き寄せられる。
「あなたは私の大事な娘よ……正真正銘の私の娘よ」
ママは私を抱きしめ、涙が潤む瞳で何度も繰り返していた。
「里(り)の字が入っているのは私の子供の証拠だ! フン」
鼻息荒く父が宣言し、あ、そうか! と私は今頃気が付いた。
父の名前は里一(りいち)
姉 樹里 弟 海里 ときて 私 未里(みり)だった。
みんな 『里』が入っている。
納得。そこは納得した。
でも、どうしてわたしは未里? どう考えても、一ミリ、2ミリのミリが頭に浮かぶ。
誰にも言えなかったけれど、私は自分の名前が嫌いだ。
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