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新たな出会い
いよいよペナントレースが始まった。
これから九月、もしリーグ優勝すれば日本シリーズがある十月下旬まで、選手は気の抜けない日々が続く。
透哉の毎日は忙しかった。もともと高校生の時からアイドルのような扱いを受けていた上にレッドタイタンに入団したため、マスコミにも追われる毎日だった。
重ねて、シーズンの始め、チームの正捕手が怪我をするというアクシデントに見舞われた。
透哉は他の捕手と併用で、いきなりベンチ入りする機会が多くなり、気の抜けない日々が続いた。
楓にも会いたいと思ったが、実際の所、時間が全く取れなかった。
ある日の練習中の事だった。
「あれ、楓?」
透哉は見た事のあるシルエットに目を奪われる。が、よく見ると別人だった。
「こら、鈴木! 何してるんだ! 全く使えない奴だな」
その人物はカメラを持った男性に怒鳴られて、今にも泣きそうだ。
透哉は楓に似ている彼女が何となく気になり、目で追う。
「ほら、佐竹選手のインタビューも撮るぞ」
彼女達一団が透哉の方に近づいてきた。
「あの、私、アナウンサーの鈴木茜と言います。インタビュー良いですか?」
「あ、はい、どうぞ」
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