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「朝から入道雲なんて。今日も暑そう」
「そうだね」
驚いて振り向いた。あるはずのない声が後ろから、しかも男の人。私の独り言に反応するなんて、本当に物好きな人。
「あ、ごめん。そこ走ってたら見えたから」
見えただけで来るのが物好きな証拠。それともナンパかな。最近はそういう輩も多くなったって聞くし。
早朝を選んできたけど、こういうことがあるなら場所を考えなきゃかもね。
「不審者でもないし、ナンパでもないよ」
心の声が聞こえたかと思った。彼は私の隣に座る。全然、許してないんだけど。
「俺、至。高校二年」
「別に聞いてないし、話すこともない。そこに座っていいなんて言ってない」
冷たいの、なんて言う彼……至がケラケラ笑うから余計にイライラした。同級生のくせに、人生楽しそうで悲しくなる。
「なあ、自殺しようとした?」
「……別に」
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