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 至は急に立ち上がる。  海に向かって歩き出す後ろ姿は金髪で、紺のスポーツウェアを着ている。足は鍛えているのか引き締まった筋肉がすごい。  しばらく海を見ていたかと思うと振り返る。 「俺さ、友達いないんだよ」 「は?」 「引っ越してきたばかりで、知ってる奴がいないんだよ。ちょっと付き合ってくれないか?」  いきなり何を言い出すんだろう。他にも話しやすい人はたくさんいるのに。 「案内してよ。えっと……」 「ありす」 「ありす? すっげー可愛い名前!」 「うるさい。どこ行きたいの?」  気まぐれ。  友達がいないって言う彼に共感を覚えたからかもしれない。  それよりも、至は私の目を見て話しているのにそこには触れてこないから。 「付き合ってくれんの?」 「いいよ、まだ夏休みだから時間ある。明日から学校だけど」 「そう。それ! 俺も明日から学校だから、見て回れるの今だけ。だからさ、ありすのよく行く場所見たい」 「……うん、わかった」
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